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    2016-08

    ローカルウッド - 2016.08.20 Sat


    ローカルウッド=地域材


    あらゆる物作りに於いての材料、素材というのは元はすべて自然界の資源、そこからの産物である。そしてその中でも木工というのはとりわけそれが直接的に感じられる分野だろな、ということは、もう30年近く毎日木を触って家具を作っていてつくづく思うことだ。木工製作と木、木工家と木。木工家にとって木との出会いは創作の一番初めの始まり。どんな木工家がどんな木を使うかで生まれる作品が決まる。

    毎年VOLVOXで開催している三重の木工家のグループ企画展で集まってくる作品を見ていると本当に作り手による個性の違いって面白いものだと思う。
    でもそんな時、そこで作品に使われる木にもっといろんなバリエーションがあれば、もっと他では見かけないような未知のテイストの作品が続々と出現して、それも面白いシーンなんじゃないかなと考えることがある。良くも悪くも木工は素材の力に引っ張られるところが大きい。

    木工、とりわけ家具の分野の作り手にとって、良い作品、良い家具というのは、ただアーティスティックな独創性や斬新さといったものではなく、毎日共に暮らす道具として飽きのこないシンプルな美しさ、生活道具としての強度、耐久性という基準が欠かせないものとなる故に、その過程で素材に対しても優劣を試し、選別し、そしてその木を使い慣れていくことで素材への理解が深まり、切り口が多彩になって作品が深まっていく、ということがある。その中で結果的に絞られていく優良な素材が主になっていく。

    また木工家は自分で山に行って木を切り倒して作品を作るわけじゃなく(そういう人もわずかにいるけど)大抵は材木屋で木を仕入れて製作を行い、そこでは安定した質と量で流通している材料を使う方が仕事が円滑に進む。特に受注製作を中心に仕事として成り立っているという部分において、そこは重要だ。


    しかし、その結果として今の家具工房で主に使われている木が、北米材、南方アジア材、ロシア材、中国材、といった外国産の輸入材になっているという現状は、やはりちょっと残念な気がします。それら外材の産地での状況はよく知らないけど、少なくとも日本の近年の状況を見てみると、搬出容易でお金になる優良材の広葉樹木は採られ出てくるけど、里山の雑木林は荒れたままで活用されず、植林地での施業には税金が注がれるばかりで見えにくい将来像、といったなかなか悲惨な森林の状況となっていることを考えてもね。

    それで、「こんなに豊かな気候風土に恵まれ、多彩な植生があり様々な樹木があるのに、それらの資源が活かされず、日本人の暮らしは外国産木材、或はプラスチック製品に覆われてしまっているというのは、考えてみればかなり不自然なことだ。この国、この地の森の恵みをもっと暮らしの中で活用し、地域でのモノとヒト、お金の循環があるという、普通に考えて自然な形に社会を変革できたらなぁ」という想いのもとで木工家として、ではどうするのがいいのか、ということをここ10年くらいよく考えるようになって、今行き着いているのが、「ローカルウッド=地域材を使った家具、生活道具の製作とその普及拡大」ということなのです。

    作る数も使う木の量もたかが知れている個人の家具工房だけど、その身軽さを利としてこの大量消費社会にインパクトある作品を提示することは可能だし、そこにこそ存在意義もあると僕は思っている。
    身近にある森の木が地元のものづくりの手により、素敵なテーブルや椅子や本棚などの家具に、または器やカトラリーやカッティングボードや写真立てやブックエンドになって毎日の暮らしの中で使われたら、地域の森と人のつながりがもっと近しいものになるだろうと思う。

    そんな流れができるためのきっかけになるような動きを、僕自身これからますます加速させていきたいと思っている。そしてもちろん僕以外にも同じ思いの木工家はこの三重県にもたくさんいるのだ。

    それで木工家が地域材を使った製作にもっと取り組むためには、というと先ずはその作品を見て手に触れてもらう機会を作って、地域材での暮らしをリアルに体感してもらうことで需要を起こしていかなければ話は進まない。
    木工家具の製作は専業、つまりそれだけで飯食える態勢じゃないと続けていけない、ということがあり、できるだけロスなく、手を動かした分の収入を確保することが活動存続の必須条件なのだ。そして実際それぞれの家具工房はそこは常々しっかり押さえてやっているわけだけど、新たな動きとして地域材への積極的取り組みをするためには、また新たな販売機会を自分たちで作ることが必要になり、なんといってもそこが一番大きな関門なんだと思う。

    また木工家にとっても初めての木と向き合うことは、その性質や持ち味をどう解釈してどう活かして機能的で美しいものを作るかという実験であり、その中で木工家は力量向上や新しい自分のスタイルを作るかことが出来るんだと思っている。木がそれを教えてくれる。だから新しい木との出会いはとても刺激的なことで、きっとそれは作家としてのチャンスなのだ。
    そして同時にそれを人に見てもらう機会もまた欠かせないものとなり、そうやって作品はだんだん良くなりだんだん買われていくのだ。そしてもう一方の大きな関門である地域材の供給態勢作りということもそこで初めて同時進行的に現実的に考えられるようになるのだろう。

    そのためのスタートを僕は今ある場所で志しを同じくする仲間と一緒に準備しているところ。始まりは小さなシーンで構わない。長い道程かもしれないが、目の前に心惹かれる木さえあれば丸太一本づつ板一枚づつ楽しんでやっていけばいいだけだと思うし、間違った道に逸れないように進むにはそれしかないと思っている。そんな理想に向けた現実的構想を共有しあえる人たちが木工のみならず、材木業や製材や山林業にもたくさんいて本当に頼もしいことだ。きっと実現出来ると思っています。
    滅多に書かない長文、拙くて分かりづらい部分多しと感じられたと思います。すみません。今後いろんな方々からの質問やご意見もお聞きしたいと思っています。このプランについては具体的な形に進む度にまた報告させていただこうと思っています。お楽しみに!お付き合いいただきありがとうございました。




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